土肥先生インタビュー(2)

 

Q:脳震とうや頸椎損傷も気を付けたいスポーツ外傷だと思いますが、フィールドから運び出す前に必ずチェックすべきことなどはありますか?

A:まずは、倒れて動けない場合はその場から動かさない、ということ。

選手本人が自分で動けるかどうかも見た方がいいでしょう。そして少しでもおかしいと思ったらプレーは続行させません。  審判をされているコーチの方もいらっしゃると思います。

審判は【First Saver】=ファーストセーバー だと私は思っております。つまり、最初に危険を察知し、プレーを止める権限を持つのは審判です。是非審判をされる方はスポーツで起こる危険について対処法について、最低限の知識は得てほしいですね。

 

Q:脳震とうになった場合、復帰までには医師の許可を受けた方がいいと思いますが、脳神経外科医師の方ならどなたでもスポーツ復帰のプロセスに精通されているのでしょうか? 保護者が「この先生なら大丈夫」と思うことができる何か、裏ワザのようなものはありますか?

A:日本体育協会のHPで*スポーツドクターを検索することができます。是非そういうサービスを使って、脳震とうからのスポーツ復帰について熟知している医師の診断を受けることをお勧めします。

お母さんたちができる裏ワザとしては、子どもが診察を受けるとき、「SCAT2のプログラムで評価してもらえますか?」と尋ねてみるのも良いかと思います。SCAT2というのは、Sports Concussion Assessment Tool の頭文字をとったもので、脳震とうを起こした選手を評価する標準的な方法です。

*日本体育協会スポーツドクター検索

 

Q:以前、ジュニアサッカーにおいて、ヘッドプロテクターをしてプレーをしているチームを見たことがあります。個人的にはやりすぎかな?と思ったのですが、その効果についてはどうお考えですか? 

A:効果としては残念ながらサッカーではあまりないようです。それよりも、頭をぶつけないよけ方や、上手く転ぶ方法など重度な外傷にならない範囲で、ぶつかったりしながら身体で覚えていく方が良いのではないかと思います。

危険な場面をよける術、かわす術、などの身体の使い方をトレーニングする方が効果的な予防法のような気がします。

 

【熱中症について】

Q:夏の練習では、どんなに暑くても中止になることはありません。WBGTなどの指標において「原則運動禁止」である暑さでも中止にはなりません。それはトップチームがどんな環境下でも試合をしている影響が多いと思うのですが、ジュニア世代において気を付けなければいけないことはありますか? 

A:WBGTは、あくまで目安として使えばよいと思います。特段の強制力もありませんし。

最近サッカーにおいての、ウォーターブレイク(試合の合間における水分補給を強制的に取らせるシステム)はかなり浸透してきたと思いますが、もう1つ、クーリングブレイク、というのも取り入れるようになってきました。

これは試合開始後30分に、2~3分ほど、水分補給だけでなく体温を下げる目的でレスト(休息)を取らせます。これは、運動後30分くらいが深部体温のピークになりやすい、という研究結果に基づいています。身体を冷やすために、首の後ろや体全体を氷などで冷やします。

ジュニア世代においては、やはり心臓震とうの時と同じように、事前の準備と対応の徹底、に尽きるでしょう。

着るものに注意したり、日焼けしにくい服装(帽子をかぶる、など)を工夫する、など。こまめな水分補給についてはみなさんもう、ご存知ですよね。

 

Q:トップ選手が暑い中でもプレーできるよう、日ごろから行っていることなどはありますか?ジュニア選手でも取り入れられる方法などがあれば教えてください。

A:暑さに徐々に慣れさせていく、ということでしょうか。

熱中症が発症しやすいのは、実は真夏ではなく急に暑くなった梅雨時期などです。また、常に快適な環境(エアコンの効いた)に慣れ過ぎてしまうと、暑さに慣れることは難しいでしょう。もちろん、体質的に暑さに弱いお子様もいらっしゃいますが、快適すぎる日常も、実は「暑さに強い身体作り」には弊害になっていることもあります。

適度に汗をかき、徐々に夏の暑さに慣らしていく、そして日常生活の管理(睡眠や栄養)や暑い中での活動では体調管理を徹底する、ということが大切です。

 

【喘息について】

Q:ご自身のお子さんが喘息の診断を受けた、という保護者の方もいらっしゃるようです。喘息の診断を受けたお子さんがスポーツに参加する際、またチームに入部する際気を付けた方が良いことなどはありますか? 

A:実は、オリンピック選手(日本)のうち、12%くらいの選手が喘息もちであった、という調査結果があります。喘息はコントロールできます。

きちんとした治療を、医師の指示通り行えば、かなりの効果が期待でき、喘息を抱えながらもトップレベルでのスポーツ参加は可能となります。是非専門医に相談してみてください。

そしてまた、「隠れ喘息」にも気を付けてほしいです。「うちの子は体力がない・・・」、と嘆いていたスポーツ選手の保護者の方がいらっしゃいました。技術もあり、優れた選手なのですが、どうも試合の後半にはバテてしまう。本人も体力をつけようと、走り込みやトレーニングを頑張るのですが、やはりダメ。良く調べてみると、その選手は「喘息」でした。

「喘息」の診断がつかなかったり、症状が軽かったりすると、本人はその息苦しい状況が「普通」だと思ってしまいます。そして、運動によっての息苦しさも「我慢」してしまうのです。

繰り返しますが、喘息はコントロールできます。

その選手もきちんとした治療を受け、息苦しさから解放され、後半もバテなくなりました。

運動によって症状がでる「運動性誘発喘息」というものもあります。

JASCOMという団体があります。喘息アスリート診療協力施設の紹介もありますので、ご参考にされてはいかがでしょうか。

リンク先はコチラです。

 

◆喘息の総合情報サイトもあります。スポーツペアレンツジャパンでリンクを追加いたします。

Zensoku.jp

 

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