アスレティックトレーナー鶴氏インタビュー(2)

 

Q:脳震とうとはどんな症状でしょうか?

A:脳震とうの症状などに関しては、*IRB(International Rugby Board)が出している脳震とうガイドラインに詳しく出ているので、参考にされることをお勧めします。
 
 
 
Q:家庭で注意すべきことなどはありますか?
 
A:普段と違う言動や行動がないかどうか、見てあげてください。
高校生くらいになると、おそらく自分で「頭を打った」とか、「変な感じがする」など、プレー中に起きたケガについてはすすんで話さないかもしれませんが、そこは是非コーチとの連携をとるようにしていただきたいですね。
 
寝ている時など、普段はかかない大きないびきをかいていたり、寝つきがわるかったり、など、普段のお子さんの様子と違う、どうも気になる、ということがあれば、すぐに脳神経外科医を受診されることをお勧めします。
そして指導者の方にはプレー中に頭をぶつけたり、脳を大きく揺さぶられたりして、気になるような症状がある選手の保護者には必ず連絡をし、家庭での経過観察の徹底をお願いしてください。
 
Q:トレーナーがいないチームなどでは、保護者とコーチとの連携が非常に重要だと言えますね。
 
A:その通りだと思います。トレーナーがいても、24時間ずっと選手を見ていられるわけではないので、年齢が低いほど保護者の方のサポートというのは非常に重要な役割だと思っていますし、我々トレーナーも率先してサポートしてくださっている保護者の方を頼りにしています。
 
 
Q:脳震とうの疑いがわが子にある、と知った保護者はおそらく脳神経外科に連れて行くと思うのですが、その後のスポーツ復帰までにはすべての脳神経外科医の先生方が熟知されているのでしょうか?
保護者が安心して我が子をスポーツ復帰させるようにするには、どのようなサポートができるでしょうか?
 
A:まずはやはり医療機関での診察が要になると思います。なかなか保護者の方が医師を選ぶ、ということは難しいかと思いますが、やはりそこは信頼できるお医者さんかどうか、ということをしっかり見極めるべきだと思います。
スポーツ復帰への評価基準は、広く知られているのはSCAT2ですし、スポーツ復帰へのプロトコル(復帰プログラム)をきちんと提示してくれる医師は信頼して良いと思います。
脳震とうからのスポーツ復帰には、必ず段階を踏む必要がある、ということを是非知っておいてください。
 
 
Q:そうしますと、やはり全くの素人である保護者だけでは難しく、アスレティックトレーナーが側にいてくれると保護者は安心です。
 
A:学校にどんどんアスレティックトレーナーが普及してほしいと、自分も願っています。
 
 
【熱中症について】
 

Q:夏のスポーツ活動で気を付けたい熱中症ですが、選手の側にいるトレーナーとして徹底している予防法などがあれば教えてください。

また、鶴さんが事前に準備していものや対応時用に常備しているもの、選手への教育なども含め注意している点があれば教えてください。

A:まずは運動前後の体重管理の徹底を本格的に暑くなる前、5月末頃から始めます。これは、練習時も試合時もです。そして、頻繁に運動後の体重が前に比べて2%以上減ってしまうような選手には、積極的な水分の補給を促すよう指示をしています。

 

Q:それは水分を失いやすい体質の選手である、ということでしょうか?

A:それもありますし、水分補給をあまり積極的にしないような選手である、という見方もできます。高校生以上になれば、自己管理能力も必要になってきますから、自分が水分を失いやすい、もしくはきちんと気を付けないと水分を取る回数が少ない、と選手本人がきちんと夏前から自覚するということが大事なのかな、と思っています。

事前準備、としては選手の体調チェックは徹底していますね。常備している物、といえば水分や氷は当然ですが、保護者の方から塩タブや熱中飴のようなものを大量に差し入れしてくださるので、それも有効活用させていただいています。

 

Q:コーチとの連携もポイントかと思いますが、鶴さんがアスレティックトレーナーとしてコーチにお願いしていることなどはありますか?

A:やはりコーチとの連携は非常に重要です。練習の量や内容、頻度や強度など、それを決めるのはコーチです。ですから暑いときには十分考慮してもらうようにしています。時間を短くしたり、強度を弱めたり、とコーチとしてできる事は協力してもらっています。暑い中での走り込みなどは、危険ですから注意してほしいですね。

 

Q:その点、鶴さんが関わってこられた早稲田大学や、高校では指導者の方の理解はあったと感じられますか?トレーナーがいないスポーツ現場では、保護者がコーチに対して練習内容について意見を言う、というこはかなり難しいと感じます。

A:自分が関わらせていただいたチームの指導者の方は、本当に協力的で、アスレティックトレーナーの意見に対して100%理解してくださいましたし、信頼してくださいました。ありがたい限りです。

確かに、指導者を選ぶ、ということは保護者の方にとって大変でしょうし、練習メニューに口を出す、ということも難しいですね。
お家での体調管理や、日常生活のサポート、そして選手への教育と同様に、プレーするお子様にも熱中症の怖さについてちゃんと伝える、ということは保護者の方でもできると思います。
 
 
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