高橋アスレティックトレーナーインタビュー(5)

 

【保護者の役割について】

 

Q:子どものスポーツ参加における親の重要な役割は何だと思われますか?

A:子どもの一番のサポーターであってほしいです。親自身がしっかりとした価値観を持ち、それを子供に伝えてほしいと思います。

 

Q:親は部活動の練習内容やコーチの指導法に対して口をだすべきではない、とは思うのですが、指導方法や活動内容に対して不安や疑問を感じたとき、また、目の前の子どもが部活動などで悩みを抱えているようなとき、親としてはどこまででるべきなのか、そしてどのように対応していいのか分からない、という方も多くおられると思います。

A:親は子供を守ることが義務だと思います。コーチの質があまり良くなく、不信感を抱くような指導法や活動内容なのであれば遠慮なくコーチに伝えるべきだと思います。

世間ではモンスターペアレンツがどうの、、、と言われていますが、悩みを抱えた子どもに対し、「そんなことはよくあることだから・・・」とか「しばらく我慢しなさい・・・」などとたしなめるのではなく、正々堂々と声を上げ、指導者に「あの親、面倒くさいな・・・」と思われるくらいでもいいと思います。

指導者に対して、それが良いものであっても悪いものであっても、何かしらのフィードバックがあってしかるべきなのです。それが現場では足りないと感じます。

もし、アシスタントコーチや部長先生などがいれば、そちらの方々にそれとなく不満を伝えてもいいでしょう。

 

実際教師のご経験もある高橋先生にそういっていただけると、保護者としても心強いです。

 

Q: 「ぎりぎりまで追い込む」ことや、「限界まで挑戦・・・」ということが日本の部活では美徳のように捉えられることが多いのかな、と感じるのですが、「きついこと」と「危険なこと」との見極めはどこにあると思いますか?

A:身体的にも心理的にも、練習はストレスです。

ストレスを感じると体はそれに反応して、2つの「とうそう」モードに入ります。

それは、「闘争」 と 「逃走」です。

常にストレスがかかった状態が続くと、免疫機能が低下して、身体には相当な負担となります。

そういう心理学的な詳しいことは分からなくても、優秀なコーチはその辺のさじ加減が巧みで、絶妙です。逆に、ダメなコーチはそれが全くダメです。そんなコーチのもとでプレーすることは「危険」と言えるかもしれません。

ぐっと追い込む時と、その後の緩和のバランス感覚がコーチにとってのセンスの見せ所だと思います。

 

Q:それはコーチングを学んだから得られることですか?それとも経験からくるものでしょうか?

A:経験だと思います。ただし、経験だけに頼らず、学ぶ姿勢も大切です。特にまだ経験が浅い指導者などはきちんとコーチングついて学ぶ必要はあると思います。

 

【心のケアについて】

 

Q:スポーツを通じて、子どもたちは様々な経験をして成長すると思うのですが、ケガをしたりなかなかチームで活躍できない子供に対して、どのような言葉をかけたらよいのか迷っている保護者の方もおられるようです。

悩みを抱えた選手に対して、高橋先生が心がけている対応方法などがあれば教えてください。

A:しっかりと価値観を伝えることですね。そして子供に考えさせることが重要です。何が大事なのか、ということが分かれば試合で活躍できなくても、子どもたちの人生においてそれほど深刻なことではないと思えるでしょう。

かなりのストレスを感じているのであれば、休んだっていいのです。そして辞める、という選択もあっていいのです。現代では色んなツールがありますから、学校に行く、ということや今自分がいる場所だけにこだわる必要はありません。無理はしない、そしてさせません。

 

【スクールアスレティックトレーナー制度について】

 

Q:保護者としては、是非日本の中学、高校にもアスレティックトレーナーがいてくれたらどんなに安心か!と思うのですが、まだまだ普及には時間がかかりそうです。現在は顧問の先生に部活動における子どもたちの安全をお願いするしかないのですが、「教員」であるのが大前提、そして何より非常に忙しい先生方に指導以外の安全管理や部員のケアまでお願いすることが果たしてできるのか?という点も疑問を感じます。

A:顧問だけでは安全面の確保は難しいのが現状です。チームの方針を顧問と確認しておくべきだと思いますが、是非国内でも学校においてアスレティックトレーナーがどんどん活動できるようになってほしいと思います。

確かにアメリカは日本に比べて進んでいますが、やはり難しいのは財政面のようです。雇えるものなら雇いたい、でもお金がない、のが実情です。

それは日本でも同じかもしれません。ですが、完全雇用という形でなくても、保健室に夕方以降はアスレティックトレーナーがいる、とか、近隣の治療院から夕方派遣されてくる、とか、いろんな方法があると思います。

自分も日本におけるスクールアスレティックトレーナーのトップバッターとして、たくさんの人に知ってもらえるよう活動を頑張っていきたいと思っています。

 

それでは、最後にベストスポーツペアレンツを目指して!宣言をお願いします。

 

保護者の方はご自身の子どもを守る義務があります。コーチの言いなりになるのではなく積極的に参加してください。ただし、子どもたちにとってはサポーターであり、出過ぎないことも必要です。そのさじ加減が重要ですが、そのためには何が大事かを認識してください。

 

 

高橋先生、沢山の質問にお答えいただきありがとうございました!

 

 

取材を終えて・・・

野球部の選抜高校大会を翌日に控え、忙しい中取材をお受け頂きました。取材中もひっきりなしに生徒たちが高橋先生の元へ訪れて来ていました。

一人、バスケ部の生徒が片脚を引きずりながらトレーナーズルームへ。

「ちっと。。。やばいっす。。。」と言いながら、入ってきました。練習中に膝の靭帯を痛めたようでした。

私はこれこそ、スクールアスレティックトレーナーの最大の存在意義なんじゃないかと実感しました。それはつまり、ケガをしたその瞬間、痛みが出たその直後、に相談できるプロフェッショナルが学校にいる。。。部活に打ち込む子どもたちにとって、こんなに心強い環境が他にあるでしょうか?

スポーツペアレンツジャパンとしても、スクールアスレティックトレーナーがどんどん広がって行けるよう、情報発信機関としてお手伝いできればと思っています。

財政面の問題もありますが、例えば保護者の力でアスレティックトレーナーを雇う、ということも不可能ではないのでは?と思います。是非子どもたちが安全にそして安心して部活動に専念できるよう、スポーツペアレンツパワーでプッシュしていきましょう!

 

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