専門家インタビュー 学校リスク研究所

内田良先生インタビュー(3)

<保護者の役割>

 

Q:子どものスポーツ参加における親の重要な役割とは何だと思われますか?
A:ある柔道事故被害者(ご遺族)の方が,「こんなに柔道で死亡事故が多いのならば,子どもに柔道なんか勧めなかった」とおっしゃっていました。

まずもって,子どもの生命にかかわる情報が,競技団体からちゃんと提供されることが最重要で,それに保護者もしっかりと目をとおす必要があります。

ただ気がかりなのは,保護者自身も,暴力的指導を容認していることが多々ある点です。

 

暴力的指導を存続させる四層構造があります。

①暴力する教師,

②される生徒,

③肯定する保護者・生徒(ときに暴力者をかばう嘆願書が集められる),

④見て見ぬフリの人びと

 

そこに暴力行為があった、にも関わらず、その指導者を擁護するような署名活動などがおこなわれるケースがあります。

保護者自身も「強くしてもらった、勝てたのは・・・先生のお蔭」という意識があると、その暴力行為が肯定されてしまう。こんなむなしいことはありません。

 

Q:保護者が部活動の安全に対して声をあげていく、ということが大切でしょうか?

A:そう思いますね。特に強豪校ともなると、保護者が声をあげることは本当に難しいと感じます。また、学校によってはその部を指導している顧問に対しては校長先生も何も言えない、というくらいのパワーを持っている人もいます。

PTAなどの組織において、部活動の安全に対してどの程度取り上げられているか、というのは私も分からないのですが、やはり学校で行われている活動の1つとして部活があるのであれば、PTAなどでも安全に対して目を光らせてほしいですね。

 

Q:保護者や指導者も、「スポーツ現場で重大な事故はめったに起こらない」と思っている方もまだ多いのかな、と感じます。日本の学校における部活動での危機管理意識、という視点でお話を伺わせてください。

A:そもそも人が死ぬということを想定していないです。だから,自殺を含め児童生徒が亡くなったときに,あまりに杜撰な対応(情報の隠蔽・ねつ造等)をしてしまうのだと思います。

 

Q:我が子が安心して部活動に打ち込めるよう、親としてできる事や子ども自身ができることなどはありますか?

A:部活動が学校管理下であるからには,まずもって学校側が,事故の実情や事故への対策について説明をする必要があります。そうしないと,保護者も子どもも,部活動を選択するための重要な情報を欠くことになってしまいます。

 

Q:親は部活動の練習内容やコーチの指導法に対して口をだすべきではない、とは思うのですが、指導方法や活動内容に対して不安や疑問を感じたとき、また、目の前の子どもが部活動などで悩みを抱えているようなとき、親としてはどこまででるべきなのか、そしてどのように対応していいのか分からない、という方も多くおられると思います。そのような場合に対して、何か良い方法などがあれば教えてください。

A:じつは部活動というよりも,学校教育そのものが聖域であり続けてきました。部活動で顧問が暴力を振るっても,それは「指導」という名のもと許されてきたのです。

私自身は,教育のコンテンツは,やはり専門職としての教師に任せるべきだと思います。ただ,スポーツ時の事故等の危機管理については,教師はシロウトです。その点で,何らかのかたちで,スポーツ事故を含めて,危機管理の専門家が学校に関わることが必要です。その専門家と保護者との対話があることは大事だと思っています。

 

Q:被害に遭った場合の対応についてアドバイスをいただけますか?実際、お子さんがスポーツ活動(部活動)において亡くなったり、重度のケガを負った場合、学校やチームの説明に納得がいかない場合、次にすべき行動は何だと思いますか?

実例を見てみると、実際裁判を起こすまでの葛藤もすさまじく、訴えそのものが被害者の望むように聞き入れてもらえなかったり(お金目当てなのでは?というような中傷)、その後の生活(世間の目や家族への影響)もかなり大変な様子がうかがえます。

先生が著書、「柔道事故」でご指摘されていた、「第三者委員会」は、保護者側も自ら設立することができるのでしょうか?誰にお願いすれば良いのでしょうか?

A:これはなかなか難しく、行政に働きかけたり、つてをたどったり、とか、支援グループとか・・・

部活動での事故だけでなく、学校での事故などでは、被害者家族は、個人で戦うしかなく、学校や教育委員会といった大きな組織と戦うのは本当に大変なことです。

工藤剣太さんの事件も、実証や証言をお父さんやお母さん自らが集め、録音し、それを文字に起こしていく、ということをしなくてはなりませんでした。

これは、想像を絶する作業です。わが子を失ったうえに、わが子が死に至るまでの過程をもう一度聞き、書面にしていかなくてはならない、私も言葉を失いました。

それは、私がこれまで関わってきた柔道事故の被害者家族も全く同じなのです。

被害者家族の方が自ら調査や証言を集めなくても良い、第三者委員会の設立がスムーズにいくような制度設計を確立していく、というのは今後の課題でしょう。

 

たくさんのお話し、ありがとうございました!最後にスポーツペアレンツの皆様に、一言お願いします。

 

学校教育の活動においても,また地域クラブでの活動においても,スポーツはその意義が強調されてきました。

しかしながら,その意義は,安全が確保されてはじめて意味のあるものとなります。

その点で,「スポーツペアレンツジャパン」の情報を参照しながら,安全・安心の視点からスポーツをみていってほしいと思います。

 

 

その他、今後の展開やお知らせがあれば!

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