アスレティックトレーナー 辻先生インタビュー②

<アスレティックトレーナーというプロフェッショナルについて>

 

Q:アスレティックトレーナーとは何をする人ですか?

A:個人的には大きな意味でのスポーツを支える人と考えています。日本ではアスレティックトレーナーの認知度が低いので、アスレティックトレーナーはスポーツに関わることをすべて対応出来れば良いと思っています。

 

Q:アスレティックトレーナーがスポーツ現場にいることでのメリットはなんでしょう?また現場で最も必要とされるスキルは何でしょう?

A:専門分野的に言いますと選手の身体をフィジカル・メンタル的にサポート出来ると思っています。

そのため、アスレティックトレーナーは幅広い知識と最新の専門分野(医学的)の知識とスキルが必要だと考えています。

 

Q:さらにアスレティックトレーナーが認知度を上げていくにはどのようにしたら良いと思われますか?また課題などはありますか?

A:極端な話をしますと社会で評価されるだけの広い能力をアスレティックトレーナーが持つ必要があると思います。

単にスポーツ分野では活躍出来るが他の分野では活躍できないというのでは評価される以前です。 

評価されるというのは対価価値(報酬)があることだと思います。

 

Q:一般的には、アスレティックトレーナーの方々がどれくらい国内に存在し、どこでどのような活動をされているのか?というのが分かりにくいな、と感じます。日本体育協会公認アスレティックトレーナーの方々を統括している団体などはあるのでしょうか?

A:日本体育協会公認アスレティックトレーナー連絡競技会ですね。

 

<スポーツ現場での安全管理について>

Q:トレーナーのいないスポーツ現場では、ケガの対応はコーチや保護者が基本対応していると思います。万が一に備えて身につけておいてほしいスキルや知識、事前に準備しておくべきことはなんでしょう?

A:当然、救急処置の知識、スキルは当然ながらスポーツ現場で起こりうる事態を常に予測出来る能力です。

事故をどのくらい未然に防ぐか、起こりうる事故にどの様に対処するかです。

大阪マラソンでのトレーナー活動でもそうですが、各区間(2.5kmおき)で、10分で100課題を学生に考えさせます。現場では想定外のことが起きるということ、瞬時に判断しなければならないということを学んでもらっています。

 

(写真はイメージです)

 

Q:保護者やそして現在ではまだ指導者や顧問の方も、「スポーツ現場で重大な事故はめったに起こらない」と思っている方も多いのかな、と感じます。

日本のジュニアスポーツや学校における部活動での危機管理意識、という視点でお話を伺わせてください。

A:バイアスという観点では人間は自分に対してメリットであることは近く感じ、デメリットに対しては遠く感じます。起こらない理由を考えることによって、起こらないはずがないと学ぶことが必要です。

日本の部活動において危機管理意識というのは非常に少ないと感じています。

その理由はスポーツ指導者(クラブ顧問)がプロフェッショナルでなないというのが原因です。そのため、事故を防ぐためにはプロフェッショナルになってもらう必要があります。

現在の学校教育においてはプロフェッショナル(クラブ顧問)を育てるだけの素地はないと思います。総合型地域スポーツクラブが部活動を担う事が、一番の近道だと思います。

また、オリンピックで金メダルをとるためには、一貫したスポーツ指導が不可欠だと思います。日本の水泳が強いのは一貫指導の賜物だと思います。

スポーツに関わる人は救急処置のライセンスがないと指導出来ないとすべき、指導者だけではなく、保護者も同様です。現場にいるひとがすべて出来ないといけないと思います。

 

Q:悲しいのですが、スポーツ事故や事件は国内でも起きています。このことに対して、その予防策や対応策について、ご意見があればお聞かせください。

A:上記でもありますが、あらゆる事故に対する想定を行う事と全国から事故事例に対するシュミレーションの情報共有を行う事によって、その地域に合った対応が策定出来ると思います。

スポーツ事故は必ず起きます。

ただ、同じ状況であっても回避出来る能力のある選手もいれば、ない選手もいます。危険回避能力が低下してきているので、発育段階で学ばす事が重大事故を防ぐ基本と考えます。

 

Q:高校や中学の部活動における、生徒に対してのケアや安全面の管理は十分だと思われますか?

A:基本、課外での位置づけの部活動では危機管理を十分にするのは難しいと思います。明確なオペレーションが必要です。

明確なオペレーションのためには学校、保護者、病院が情報を共有し、どのような状態になっても対応出来る(安心出来る)システム作りが必要です。 

 

Q:保護者としては、スポーツ現場の安全管理は指導者や顧問の先生にお願いするしか今はないのかな、と思うのですが、そこは信頼できると先生はお考えですか?日本のシステムや制度上、スポーツ医科学に基づいた指導方法や知識、技術は全指導者が持っていると言えるでしょうか?

A:持っている人もいれば、いない人もいます。 持っていなくても指導が出来るというのが現実です。

そのため、ライセンスが必要という状況をつくる必要があります。

選ばれた指導者だけが、クオリティーの高い情報が得れて、他の指導者は得れないというのが現状です。

すべての指導者がスポーツ医科学に基づいた指導方法や知識、技術を学ぶ事が出来るシステムが必要です。

 

Q:子ども達が安心して、そして安全な環境で学校の部活動に参加するために、私は親としてアスレティックトレーナーが学校に配置されてくれればいいな、と思うのですが(もしくはアスレティックトレーナー部)、辻先生はどのように考えられますか?

A:アスレティックトレーナーが部活動に配置される事は良い事だと思いますが、現実的には様々な問題があります。

特に金銭面になります。

部活動別であれば、親が負担すれば可能ですが、学校全体での雇用となるとすべての生徒、親の同意は得れない。特に公立高校だと単独校だけの範疇でするのは難しい。

ただ、校長先生の判断で可能です。事実、堺市のある中学校の校長の判断で、関西医療大学の学生がトレーナーとして2時間4,000円を頂いていました。保険等に関しての担保は堺市スポーツ振興事業団の事業として行っていました。

ただ、この校長先生が定年退職されたあとはこのシステムは実施されませんでした。

現在、学校教育においては校長判断が大きく、校長次第で対応が変わります。この校長も3〜5年おきで変わります。それゆえにシステムが不安定になります。

そこで、学校、病院、保護者、指導者が一体になり総合型地域スポーツクラブを学校内におき、安定した運営をすることによりシステムが成熟し、生徒のスポーツ支えるシステムが構築されると思います。

 

Q:部活動や子ども達にとってのスポーツ活動のあるべき姿、とはどのようなものだと辻先生はお考えですか?

A:スポーツ活動の基本は健全な心身の発達を促すものなので、生涯スポーツの中の一部分だと考えています。その基本はライフスキルだと考えています。

 

Q:スポーツ現場の安全管理と、スポーツ指導者の質向上は、誰がイニシアティブを発揮すべきだと考えられますか?

A:文部科学省だと思います。

 

Q:合宿や遠征試合に行く際に準備しておくべきこと、現地で気を付けるべきことなど、辻先生がトレーナーとしてされていることを教えていただけますか?

A:基本、現地の情報を収集します。宿舎、食事、環境、交通機関、医療機関などなど、移動する事によって知らない事が増えます。

様々な事に対応するためには情報を共有し生かす能力が伴っていないと何の役にも立ちませんが・・・。

 

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