中新井田さんインタビュー(2)

<母親業との両立について>

Q:女性アスレティックトレーナーとして活躍されている方も増えてきましたが、中新井田さんの母親業とトレーナー業の両立のコツなどがあれば教えていただけますか?

また女性トレーナーを目指している学生さん達にアドバイスなどがあればお願いします。

A:母親業との両立のコツは周囲の協力と家族第一の姿勢です。結婚した当時、恩師の溝口先生が『家族を大切にしなさいよ』とおっしゃいました。それは、私の性格をご存じだからだと思います。無鉄砲で頑固な性格を見ての助言だったのでしょう。

 

両立のやり方はいろいろとあると思います。また人により重視するポイントも違います。私がここまで至るまで、いろいろと葛藤がありましたが、基本、家族を大切にすることです。

家族が健康であれば、トレーナー活動も研究も可能です。

子供を育てることにより自分も育つ。

子供を育てることでコミュニティーが広がり、今までの視点を変える出来事や出会いもある。

それにより人生を桜花するということ。ときどきトップで活躍しているトレーナーの方を拝見します。

私はトップで活躍した経験がある分、そんなに悲観することはないです。

実際、その時の経験、人脈などが今、生きている気がします。それに両方を無理に成し遂げようとすると、子供が犠牲になる気がします。そこは私の選択ですね。彼らが犠牲にならないギリギリのラインで活動すること。

 

若い方へのアドバイスは、挑戦することを恐れないことですね。新しいことはなかなか勇気がでない。現状から一歩だせないことが多いです。でも、3年先、5年先と考えて自分はどうしたいかを計画すること。甘えないことですね。間違えないでくださいね、転職を繰り返しなさいということではないですよ。(笑)

 

私は子供二人連れて、主人を日本においてハワイ大学に博士号を取りに留学しました。今考えたら恐ろしい挑戦です。しかし当時は、両親が生きている間、私が無理できる間、主人の仕事が乗っている間、子供たちが小学校低学年の間、など多くの条件を考え、ベストのタイミングだと決断し渡米しました。

結果、3年で帰国し、順天堂大学でPhDを取り、今に至ります。

それで結果は・・・??まだ、わかりません。

 

多くの苦労はもちろんありましたけど、すべてが開花しているわけではなく、しかし得られたものも多いと信じています。もちろん、後悔はないです。自分の意思で決めたことに責任をとれば、後悔はないですから。

なお、みんながトップリーグに向いていると限りません。現在とりかかっていることは、アスレティックトレーナーが高齢者への運動指導を行くことです。スポーツ医学の知識を活用できる場所を研究通じてアピールすることを試みています。

 

<日米との比較>

Q:アメリカのアスレティックトレーナーの資格を持つ中新井田さんは、アメリカでの生活も長く、多々海外に行かれる事も多いかと思います。子ども達のスポーツ現場での安全管理において、日米の違いや日本が参考とすべきシステムがあれば教えてください。

A:日本とアメリカのスポーツ現場においての安全管理ですが、年齢により異なります。

まず小学生は親が関与する場面が多いです。送迎からコーチまで、練習中は常に親が監視しています。

ハワイでわが子がスポーツをしている際(息子は空手、娘は体操)常に一緒でした。

中学は存じ上げませんが、現在、統計上この年齢での整形外科に通うことが多く対策が必要とされています。

(論文;”Pediatric Orthopedic Injuries Requiring Hospitalization: Epidemiology and Economics”をご覧ください)

ハワイでは高校にアスレティックトレーナーが在籍することが任意でありそれらのATCはDOE(Department of Education)に登録されています。

 

Q:ハワイの高校には必ずアスレティックトレーナーがいると伺いました。やはり日本よりトレーナーの存在が身近である、という事でしょうか?

A:身近であるかどうかはわかりませんが、歴史が違うと思います。

1989年ハワイ州マッキンリー高校でアメリカンフットボールの事故で学生が四肢麻痺になったことをきっかけに1991年に調査及び報告が行われました。

1985年から発足されたハワイアスレティックトレーナー協会(HATA)も協力したと報告されています。

その後1993年にDOE(Department of Education)へ行政へのロビー活動が行われ公立高校にDOEに登録されいるATCが所属することが決まりました。

現在、ほぼ全校、州内の公立・私立高校にATCが職員として存在します。

なお、DOEの登録であるため、登録されているものは、州に年金などの保障がされていて、安定した職業であるといえるでしょう。

なおNATAがATCを準医療資格者であると公表していますが、日本ではアスレティックトレーナーが職業として社会的に認められてないため、せっかくの知識や経験が十分世の中に貢献していないと思われます。

 

<保護者の役割>

Q:子どものスポーツ参加における親の重要な役割とは何だと思われますか?

A:子供たち、コーチ、そして競技をサポートすることでしょう。

 

Q:スポーツ障害を起こさないため、そして起こりにくい身体作りなどはできますか?小さいうちから行っていたら良いことや習慣などがあれば教えてください。

A:親としてバランスよく食事をとらせること。しっかりご飯を食べさせること。睡眠、休養をとらせること。規則正しい生活をさせること。文武両道をすすめること。

その他に指導者やコーチ、周囲の保護者とのコミュニケーションが大事になります。

アスレティックトレーナーとして気になるのは、ウオーミングアップ、クールダウンを十分行っているか、練習時間などの把握をすること、です。

 

Q:スポーツでケガをしたわが子に、親ができるサポートはなんでしょう?

A:予防が第一ですが、事故は起きます。その場合は適切な応急処置を行うこと。

多くの場合、コーチでなくここは親の出番となります。まずは“病院”に行くこと。

スポーツ整形外科または小児整形外科を受診すること。なお、接骨院や治療院は上手に使うと治癒の促進になりますが、十分調査しスポーツ傷害・障害に理解のあるところを利用するとよいと思います。

その治療院に体協AT(日本体育協会公認アスレティックトレーナー)がいればベストです。

自宅では指導のもとにRICE処置、アイシング、ストレッチなどを行うといいと思います。

成長に伴う障害に関しては、安静、アイシング、ストレッチ、軽度のリハビリを自宅で行うといいと思います。

なお、時には、親として、不明な治療法、薬、塗り薬など、藁をすがる気持ちになりいろいろ挑戦されます。

どうするかは個人的な判断となりますが、おすすめしたいのは親として子供の現状や成長を受け入れ、長い目で見て行動をすることです。そのためには親も最低限の医学知識を得て医師に相談しましょう。

 

Q:親に知っておいてほしいスポーツ医科学の基礎知識などはありますか?

A:病院と治療院の違いです。意外ですが、多くの方々はその区別ができません。

なお、基礎知識として、熱中症、脳震盪、成長にかかわる障害はなにかと認識は必要です。

外傷、障害、簡単には捻挫や骨折などもちろん、熱中症、脳しんとう(鼻血)、痛みに関しては素人判断するのではなく、まず病院に行くことをおすすめします。

 

Q:親が診察に連れて行った際、なにか医師に聞いておくべきポイントなどがあれば教えてください。

A:病名をしっかり聞いてください。いろいろと質問をしてください。

病名がわかればその後、他のツールを使用し詳しく調べることができます。

また、医師に丸投げしないでいただきたいです。自分の子供は自分で責任を持ち、守りましょう。

セコンドオピニオンを恐れずに行いましょう。

 


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