中新井田さんインタビュー(3)

<スポーツ現場での安全管理について>

 

Q:トレーナーのいないスポーツ現場では、ケガの対応はコーチや保護者が基本対応していると思います。万が一に備えて身につけておいてほしいスキルや知識、事前に準備しておくべきことはなんでしょう?

A:準備として、審判、指導者、コーチ、保護者の中に医学知識がある方がいるかを把握しましょう。(医師、看護師、理学療法士、アスレティックトレーナーなど)

その方々がいれば、応急処置はカバーできるでしょう。

大会の場合は、医療資格がある方が現場にスタンバイするように委員会に相談しましょう。ただの鼻血として対応せず、脳震盪などの危険も気がつくことができます。

もし、そのような方が用意できない場合は、先生及び保護者の代表がfirst-aid, CPRの講習会を受講することをお勧めします。また、救急車を呼ぶことを恐れずに。

 

Q:保護者やそして現在ではまだ指導者や顧問の方も、「スポーツ現場で重大な事故はめったに起こらない」と思っている方もまだ多いのかな、と感じます。日本の学校における部活動やジュニアスポーツでの危機管理意識、という視点でお話を伺わせてください。

A:それは、審判、指導者の知識や意識だと思います。千葉県は比較的にバスケットボールに関しては認識が高く、どの年代でもスポーツ医学に関しての知識はある気がします。それは大学出身の指導またはスポーツ医学知識に触れているかも関係するのではないでしょうか。

薬円台小学校のミニバス指導者はベテランの先生であり、千葉県内での大会で競技委員長をなさるほどの方です。また審判委員長でもあります。練習も一日、2-3時間その内ご本人が真剣に指導するのは一時間と決めています。理由は練習強度をコントロールするためです、怪我の予防のためです。

 

また、夏休みの練習は必ず親が当番で見学します。水筒の補充や子供の体調を監視しています。熱中症予防です。

指導者が教員の場合でも保護者がコーチする場合でも、危機管理の条件は一緒だと思います。やはり各競技の協会が各々スポーツセイフティの認識があるかないかだと思います。

従って、危機管理を定着させるのは指導者の意識、及び協会の考え方が大きいと思います。

また、それを誘発するのは子供を持つ、保護者の義務であるべきだとも感じます。そこで指導者や保護者に情報提供をすることは我々アスレティックトレーナーの仕事でもあります。

しかしそれを要求するのは保護者の力が必要です。

  

Q:少年団や学校の部活動における、生徒に対してのケアや安全面の管理は十分だと思われますか?

A:私は東京の一部の中高、千葉県のバスケットボール部(高校、小学校)しか存じ上げませんが、安全面は十分だと思いません。

 

Q:子ども達が安心して、そして安全な環境で学校の部活動に参加するために、私は親としてアスレティックトレーナーが学校に配置されてくれればいいな、と思うのですが、中新井田さんはどのように考えられますか? 

A:私もどの年代であれ、各学校に最低でも1名、配置していただくことを希望します。理想的には、各学校にフルタイムでアスレティックトレーナーがいるといいと思います。

多くの場合、学校には保健師がいますが、放課後には帰宅しますので、その後は、指導者及び保護者に責任を負うことになります。

現在、私はパートタイムで中・高校女子バスケットボール部のアスレティックトレーナーとして勤務しています。不在の場合が多く、できる限り指導者と連携をとり、マネージャーの協力のもとでサポートを行っています。

このように学校側がアスレティックトレーナーの必要性を感じ、予算を取ってくれる機関が増えることを望みます。

 

Q:スポーツ現場での安全確保、という面で最低限しておくべきことや用意しておくべきものはなんでしょうか?

A:AED、救命講習を受講し資格保持者がいること、またそれを更新し続けること。

 

Q:スポーツ現場の安全管理と、スポーツ指導者の質向上は、誰がイニシアティブを発揮すべきだと考えられますか?

A:スポーツ競技によって異なるとは思いますが、イニシアティブはその競技の団体、協会だと思います。

しかしこれらの機関に丸投げするのではなく、教育委員会、医師会、日本体育協会など多くの行政などを含めて日本のスポーツの向上と安全について協力し合う必要があるかと思います。

 

<スポーツ外傷における対応について>

Q:子どもがゲーム中に倒れこんでもゲームを再開させようと特に何のチェックもなく抱きかかえて(もしくはおぶって)運び出す姿も多く見られます。まずは運び出す前に確認すべきことはなでしょう?素人にもできるチェック方法などはありますか?

A:そうなんですか??それは恐ろしい。ぜひ、やめていただきたいですね。 試合中、審判は何をしていたのでしょうか?

さきほどもお答えしましたが、試合や大会にはAED、救命講習を受講し資格保持者が在中ことを望みますし、この場合はどうするか、しっかり競技委員会が決めておくべきだと思います。

さもなければ、*Good Samaritan(善きサマリア人の法)として救助に行くべきです。

私もこのような状況はなかったですが、大会中何回かほかのチームのヘルプに入った経験はあります。わがチームの指導者の先生はこの点理解があり、私がそこにサポートの入ってもフォローしてくれます。

もちろん、ルールに従って、審判に許可を得てコート内に入ったり、ベンチに入ったりしますが。

素人ではなく、玄人を置いてください。

 

*Good Samaritan(善きサマリア人の法):災難に遭ったり急病になったりした人など(窮地の人)を救うために無償で善意の行動をとった場合、良識的かつ誠実にその人ができることをしたのなら、たとえ失敗してもその結果につき責任を問われない」という趣旨のこと。(ウィキペディアより)

 

Q:スポーツ外傷やスポーツ障害後のアスレティックリハビリテーションは重要だと思うのですが、それはどこに行けば受けられますか?一般の人はどのように調べるのが良いでしょうか?

A:ご存知かと思いますが、日本体育協会のHPにスポーツドクター検索があります。

そこで医師を探すといいかと思います。なお、リハビリに関してはADLまではその病院でお世話になり、その施設がアスレィックリハビリテーションまでできるのであればベストですが、もしそのような知識のあるスタッフがいない場合、日本体育協会アスレティックトレーナーの資格を持っている方がいる施設を探すのをおすすめします。

 

Q:脳震とう(頭部外傷)について保護者が知っておくべきことはなんでしょう?

脳震盪に関して、日本はたいへん遅れています。

まず、頭部を打った場合、ただの鼻血であると片つけないでください。その時の記憶を無くしていないかを確認してください。

また、選手の名前や学校名など簡単な質問をして答えられるか確認してください。

頭痛、吐き気、めまい、など少しでも症状がある場合、また様子がおかしいと思った場合、病院に連れて行ってCTをとってもらってください。

医師が必要ないと思っても、緊急であれば要望できます。レントゲンでは詳しくわかりません。

なお、その後24時間監視してください。

様子がおかしいと思った場合、躊躇せず救急車を呼ぶか、自ら病院に行くことをお勧めします。

なお、NATAでもスローガンとして謳っていますが、“When in doubt sit it out:(脳震盪の)疑いがあれば休みましょう。”

 

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