中新井田さんインタビュー(4)

<子どもとスポーツ>

Q:部活動もしくはジュニアスポーツの、そもそものあるべき姿、子ども達の理想的なスポーツとの関わり方とはどのようなものだとお考えですか?

A:部活動は子供たちのミニ社会です。大人の社会と同じです。

仲のいい仲間もいれば、嫌な人、合わない人もいます。その中どう生きていくか、生き抜くかです。

部活も一緒です。

また、自分のいいところを捜し伸ばし自信へとつなげる。しかしこれも一通り経験してみないとわからないですよね。部活動はEQを高める場です。

最近、指導者の暴力や体罰が今やっと問題になってきました。自分も体罰を受けてスポーツをやっていた世代です。

正直、体罰は必要ないと思います。体罰を使うことは指導者が指導する力量がないということです、コミュニケーション能力がないことです。

ただし、この世代の指導者、体罰をしているという認識がなかったことも事実です。これはこれから改善していかなくてはならないことです。

 

Q:年代別における、子どものスポーツ参加への親の関わり方についてアドバイスがあればお願いします。

A:各世代(小学生、中学生、高校生)における親の関わり方ですが、子どもの成長が大きく関係すると思います。

理想的には、親が子ども行動を把握しておくべきだと思います。

どこまで関与するかは個別ですが、例えば、アメリカの場合、中学生は移動方法がないので親の車の送り迎えで試合などに行きます。それにより、親子のコミュニケーションが発生します。

また、高校生になった場合、車を運転する学生が増えますが、高校生のバスケットボールやアメフトの試合は親が観戦する時間帯に行われます。また学校にはブースタークラブと言う保護者会がバザーをやったり、チームTシャツを作り販売したり、クッキーを焼いて売ったり、チームの運営資金集めに協力します。

日本のように中学、高校の部活に入れば親が関与する場が少なることはないです。(ただし、日本でも一部の現場では保護者会が盛んに貢献し、先生と食事会を設けるなどコミュニケーションを大切にするチームもあります、これらのチームは多くの場合、成功を収めています。)

親が子どもの成長とともに、楽しむことができればいいですね。

また、最終的には、『身体の強い子』 はプロとして確立する可能性が高いのは?

 

Q:中新井田さんのおっしゃる『身体の強い子』というのはどのような子でしょう?

A:ケガをしない子、です。丈夫な子どもです。そして、「抜き」が上手い子、だと思っています。

 

Q:「抜き」が上手い、とは?

A:追い込みすぎない、ということ。本人も、両親も、そしてコーチもです。メリハリ、ですね。力をいれるところと、抜くところ、休養を取るのが上手にコントロールできていることで、ケガもしにくいですし、長く競技を続けられるのだと思います。

 

Q: 「ぎりぎりまで追い込む」ことや、「限界まで挑戦・・・」ということが日本の部活では美徳のように捉えられることが多いのかな、と感じるのですが、「きついこと」と「危険なこと」との見極めはどこにあると思いますか?

A:「ぎりぎりまで追い込む」ことや、「限界まで挑戦・・・」は英語でも良くフレーズとして利用されます。

人はそう簡単に限界まで追い込めないものです。スポーツはきついです。自分の限界とやらを乗り越えてこそ、得るものは大きいのです。

ただしこれらは、選手の成長とともに行うべきだと思います。小学生や中学生の場合、大人にやれと言われたら、限界がわからないので怪我をするまでやるでしょう。精神的にも肉体的にも追い込んでしまいます。

そこの見極めはやはり指導者の腕です。それがわからない指導者であれば、親が指導者を教育すべきです。その権利は親にあるはずです。

 

Q:親はスポーツ指導に対して口をだすべきではない、とは思うのですが、指導方法や活動内容に対して不安や疑問を感じたとき、また、目の前の子どもが部活動などで悩みを抱えているようなとき、親としてはどこまででるべきなのか、そしてどのように対応していいのか分からない、という方も多くおられると思います。

A:私は基本的に指導者とコミュニケーションを取るべきだと思います。気楽に話せるような場を設け、食事会や飲み会などでもいいと思います。

多くの場合、指導者やコーチはチームなどとプロ契約していない限りほぼボランティアである可能生があります。そのため、親が意見を言い辛いということがあるでしょう。

 

私も、もちろん、指導者に作戦や競技技術指導に対して意見をすることは十分考えてから行います。身体に影響する問題に関しては別です。 スピアリングなど危険なプレイを指導している場合は注意が必要です。直接指導者に話せない場合はほかの指導者や協会などに相談するなど方法を考えてもいいと思います。

 

しかし、言葉の暴力や体罰などは別です。保護者として指導者を理解しようとする姿勢は大切ですが、疑いがあれば、勇気をもって指導者や周りに相談すべきだと思います。

 

子どもが悩みを抱えているときは、情報収集が必要です。悩んで解決することなのか、指導者や学校に相談すべきことか、状況により回答が異なるので一言ではお答えできません。部活には他の先生が関与したり、保護者や外部の人間が自由に見学できる風通しのよい状況であることを希望します。

またその状態を作るべきだと思います。従ってどのレベル(年代)でも親が関わっていることは大切だと思われます。

 

 <トレーナー目線での、わが子のスポーツ、チームとの関わり、について>

Q:中新井田さんのお子さんはバスケットをされている、という事なのですが、お子さんのスポーツ参加において「トレーナー」である親としての関わり方のモットー、などはありますか?

家庭でのサポートや、お子さんのスポーツ現場でのサポート、チームや指導者との関わり方などをお聞かせください。

A:息子が日本に帰国し、地元の小学校へ転校し、ミニバスに入部してから2年間、自分の職種や過去などをあえて公表しませんでした。

親が元全日本のトレーナーでミニバスに入ったとなると子どもとして、ハワイ帰りだけでもプレッシャーと感じ、わが子を守るために伏せていました。

でも、本能ですかね、試合中けが人が出て救助に行き、ほかの保護者に注意され、批判されたりもしました(笑)。

しかし、バスケ界は狭い世界ですから徐々に正体がばれてしまいました(笑)。

そして息子が最終学年になったときは簡単なトレーナーバックを持ち歩き必要があれば救助に行きました。もちろんほかのチームであっても必要であれば「私はアスレティックトレーナーです」と名乗り、応急処置を行いました。

今となっては、当時の保護者に対しての最初の切り口は適切だったか考えます。もっと最初からオープンであればよかったなぁ、と感じたこともあります。

しかし、時間の経過とともに、周囲の保護者に理解してもらった気がします。

特に影響があったのは指導いただいている先生との関係です。共通の知人が多かったことから話すようになり、お互いバスケットボールを愛する者として、持ち場を尊敬し合い理解し合うことで、仲良くさせていただいています。

 

Q:トレーナーとしてのご経験や知識はお子さんのスポーツ活動においてどのくらい役に立っていますか?

A:最後の県大会では千葉県2位という成績を残したチームでした。もちろん子供たちの努力と先生の指導力の結果ですが、必要があれば、AT(アスレティックトーナー)としてポイントポイントでサポートさせていただきました。

チームが必要とされているときは最大限のサポートをさせていただきました。

 

Q:お子さんのチームでのサポートをお願いされたりしませんか?

A:はい、けが人が出たら先生から電話をいただき駆けつけました。場合によっては、病院を紹介したり、処置をしたり、リハビリを処方したり、先生の相談にのったりとできる限りのサポートはしました。しかし、一番多かったのは、保護者からの相談でした。

どの状態であっても、できるだけ息子の母親としての立場を忘れないように心がけました。

 

Q:保護者の方からのご相談はどのような内容でしょうか?

A:2つご紹介しますね。

1つは秋のマラソン大会中に肉離れを起こした選手がいました。お母さんから、どの病院に行くべきかと聞かれ、船橋整形外科をおすすめしました。一番上の子供の場合、スポーツ専門医療機関などの情報はなく、どこに行けばいいのかわからない場合が多いです。

診察を受けた後、病名が決定すると大体、何日間は休養するようにと言われる。もちろん医師は相手が子供なので長めに治癒期間が設けられます。アスレティックトレーナーがいない場合、専門医療機関に通院し、リハビリを受けることがべストですが、アスレティックトレーナーがいる場合は、通院しながらも簡単なアスレティックリハビリテーションメニューが処方できますし、また聞き逃したことなどをフォローすることも可能です。また指導者とシーズン、試合のタイミングを相談し、状況を説明することもできます。指導者に無理に復帰し再発する危険があることを指摘することが可能です。 

もう一件は、膝が痛み、病院につれていったのですが、保護者は病名のオスグッドシュラッター病を忘れてしまい、骨の病気で成長痛であり3週間練習ができないことだけを記憶していました。よくあるケースで、保護者は意外に冷静に聞いているつもりでもあいまいに覚えていることが多いのです。

全国大会をかけての県大会の真っ最中であり気が動転していたのでしょう。その時、膝を見せてもらい、3日間完全休養し、その間アイスマッサージ、ストレッチ、アイソメトリックのクワッドセットを処方し、サポーターを購入してもらい、指導者の先生と練習やプレイタイムなどを検討して、取り合えず無事に乗り切ったこともあります。

 しかし、これらは、日本体育協会のAT公認であったり、全米アスレティックトレーナー協会のATCであれば指導できますが、トレーナーと名乗る方であれば必ずできることではないのです。

このように、しっかりとした知識、経験、資格がある方の話のもとで行動することをおすすめします。また、アスレティックトレーナーがいない場合は、近所の接骨院などをリサーチし、近隣の部活をしている高校生などが通っているところを捜し、好評であれば、どのような方がそこで開業してしているのかを聞き、そこに通うことも可能です。

基本、アスレティックトレーナーに見てもらっても、治療院に行っても責任は保護者にあり、注意深く監督し、子どもの行方を判断することをおすすめします。

 

Q:夏場の室内での練習、何か家庭レベルから気を付けていることなどはありますか?お子さんに直接何かアドバイスをしたり、現場で気を付けていることはありますか?

A:この前に、少しふれましたが、夏休みは必ず親が当番で練習を見学します。熱中症予防のためには、わがチームの女子部のように先生自身も指導歴が浅く、保護者も知識のない場合は、熱中症に関してWEBサイトを紹介したり、メールで熱中症に関して説明をし、子供の体調を監視し水分補給を行いました。

また、感染症の多い時期はその予防を促し、消毒やマスクなど季節によって注意をします。

大会や練習試合の場合、食事を取るタイミングや内容などを指示をします。食べすきたり、反対に消化しないと思う保護者が多く、時間があるのにエネルギーゼリーのようなもので補給しようとしますが、こちらが試合までの時間を計算し、消化のいいものは率先して食べさせます。

体を冷やさない方法、アイシングをする方法など、気がついたことを行います。

しかし、基本的にはあまり無理をさせないことを心がけました。

 

Q:国内のジュニアスポーツにおいて、足りない点などや改善点などは感じられますか?

A:現場にアスレティックトレーナーの配置を希望します。指導者や審判のスポーツ医学の教育を行うことを希望します。

日本は小さい国です。子供の数も多くはないです。資源を大切にできるよう、長期計画でアスリートの育成できる組織作りを希望します。

 

スポーツペアレンツの皆さんへ一言お願いします。

子どもを守るのは親です。子供を育てるのも親です。

しかし子どもは親のものではないのです。

 

子どもとともに生きて成長して、彼らに楽しませてもらえるようスポーツを通じてサポートしたいですね。

私もスポーツをする子どものparent(親)です。常にTry and errorで学び続けています。

みなさん、今を楽しみましょう!!

 

 

中新井田さん、たくさんのお話しありがとうございました!

トレーナーであり、母であり、そして教育者でもあり・・・ 参考になるお話しがたくさん伺えました!

 

>(