5)肩や肘のスポーツ障害

2014年03月06日 13:41

①腱板損傷
②上腕骨近位骨端線障害(リトルリーグショルダー)
③野球肘(離断性骨軟骨炎)
④鎖骨骨折



①腱板損傷

症状:肩周辺の痛みや炎症。腕を体の横に伸ばした状態(きをつけの姿勢)から、そのまま横に上げていき、水平になる所で痛みが走ったり、肩の中の方でひっかかるような感じがあって、肩の高さまであげられなくなったりする。

【原因】肩のインナーマッスルの使いすぎによるもの。

*インナーマッスルとは・・・?
 腱板ともよばれる、肩関節の中にある、筋肉のこと。(ローテーターカフ)
子どもの頃は、そのインナーマッスルが強くないため、必要以上に使いすぎるとその機能が低下し、肩関節に炎症が起きたり、腱鞘炎が起きたりする。

野球をしている子どもに限らず、テニスや水泳、バレーボールなどの競技を頻繁に行っている場合にも起きやすい。

【治療】肩に痛みがあったり(練習時はなくても、練習後は痛む場合なども含めて)、セルフチェック(腕を肩の高さまでゆっくりあげて、痛みや引っかかり感がないか)で異常があれば、すぐに医療機関へ。

その後、安静にして、痛みがなくなってから、しっかりとしたリハビリ(腱板の強化やストレッチ)を行っていく。

普段からインナーマッスルを鍛えるような、チューブトレーニングなどを練習メニューに組み込んだり、適切な投球数やウォームアップやクールダウンの徹底などで、予防できます。



②上腕骨近位骨端線障害(リトルリーグショルダー) 

【症状】:投球時に痛み(肩から腕にかけて)があるものの、長くは続かない。レントゲンを撮ると、骨端線の部分が黒く抜けて見える。我慢しながら運動を続けていると、成長障害が残り、腕が短くなってしまうことも。

【原因】:成長期における、肩の使い過ぎ。

【治療】:投球時などの運動時に痛みがあったら、医療機関を受診し、レントゲンを。

その後、肩を動かすような運動は避け(ランニングやバッティングは許可が下りることもあります。医師に確認してみましょう)、運動への復帰はレントゲン上問題がないか確認してからになります。

再発も多いので、慎重な復帰プランを立てる必要があります。


③野球肘(離断性骨軟骨炎)

【症状】:内側部を痛めていれば、肘の内側に痛みや炎症。 外側部を痛めていれば、肘の外側に同様の症状。

*セルフチェック・・・肘を曲げて自分の肩が触れなかったり、肘が完全に伸びない、肘の内側や外側を軽く押すと痛い、などがないか確認。

【原因】:成長期における、肘の使い過ぎや、不完全なフォームなど。 成長期の子どもに変化球などを投げさせるのは、不適当な指導である、とされています。

【治療】:肘に痛みを感じたら医療機関へ。その後、初期の段階であれば安静のみで完治が可能。 

痛みを我慢しながら続けていくと、手術が必要になったり、復帰までに数年かかることもありますから、早期発見、早期治療が大原則です!

野球肘の中でも重度なものは、別名、離断性骨軟骨炎(りだんせいこつなんこつえん)、とも言います。

*どんな症状?
最初は痛みという痛みをそれほど感じず、運動中にちょっと、もしくは運動後に気になる程度、が始まりです。

もしくは、痛みをまったく感じなかったのに、医師の触診や検診でレントゲンを撮って発見される、ということもあります。 

肘のある部分を強く押すと痛みがあることもありますし、症状が進むと肘が完全に曲がらない、伸びない、ということもあります。

Q:どうしてなるの?

成長期の骨端(肘の場合は上腕骨=肘から上の骨の末端部分)はもろくて柔らかく、そこに繰り返しのストレスが加わることで骨に亀裂が入ったり、重症化すると骨がはがれてしまいます。

急に投球数が増えたり、フォームを変えたり、ボールの重さが変わったり。。。と環境の変化で症状がでることもあります。

Q:痛いまま無理して運動を続けるとどうなる? 

野球キッズでしたら、野球を辞めなければいけなくなることもあります。(大げさではなく)

大きくなって、肘が伸びきらない、曲げる角度が左右違う、ということも起こります。 

また、手術をしないで安静にしていれば治るはずだったのに、無理をしたことで骨がはがれ(関節ねずみ)、結局手術を受けなかればいけなくなることもあります。

Q:診断名が確定した後の流れは? 

程度にもよりますが、手術なし、で安静にする場合、3ヶ月から長くて1年くらいボールを投げたりはもちろん、打ったり、ものを怪我をしている腕で持つことは禁止となります。

その間、医師の指示の元徐々にリハビリに入っていきます。最終的にはスポーツへの完全復帰を目指します。かなり綿密に計画されたアスレティックリハビリテーションに従って行わないと再発しますので、無理をしない、指示に従う、ということを必ず守りましょう。

Q:離断性骨軟骨症って肘だけに起こるの?

いいえ。膝関節や足関節にも起きます。成長期のお子様のスポーツ活動では注意が必要です。

Q:予防方法は?

まずは、日々のケアです。ウォームアップ、クールダウン、アイシング、ストレッチ。
そして、投球数や変化球禁止の厳守。 

*望ましい練習量と投球数(日本臨床スポーツ医学会の提言から)

【小学生】
週3日以内で1日2時間をこえない
全力投球は、1日50球以内で週200球をこえない

【中、高校生】
週1日以上の休養日をとる
全力投球は、1日70球以内(高校生は100球以内)で週350球(高校生は500球)をこえない

少年野球の試合などに無料の ”野球肘・野球肩検診” もありますから、ぜひ子供に受けさせましょう。

早期発見、早期治療で重症化を防げますし、なにより復帰までの時間が短縮できます。 

Q:おうちでできることは?

肘を酷使するようなスポーツをお子様がしていて、肘痛を訴えたりしたら、まずはスポーツ整形に行って受診させましょう。

そして、半月に1度は ”圧痛チェック” や”可動域のチェック”をし、肘への負担が大きくなっていないか、などを確認しましょう。

*可動域のチェック・・・左右差をチェックします。
・肘を曲げて両手とも肩につきますか?痛みはないですか?
・肘を伸ばして、まっすぐに伸びますか?左右差はありませんか?痛みはないですか?

まったく難しいことではありませんから、チームで、おうちでできるといいですね。 


④鎖骨骨折

鎖骨の場合、体の内側は胸骨上部(胸の骨の上部分)=SC joint(胸鎖関節)

外側(腕側)は、肩甲骨の肩峰という突起部分=AC joint(肩鎖関節)に接触し、靭帯によって固定されています。

骨の多くは、筋肉やその他の組織に包まれていたり、かぶさっていたり、と保護されていますが、この鎖骨は保護する筋肉や脂肪はほとんどなく、かなりむき出しになっています。

【症状】:かなりの痛みを伴います。プレーの続行は痛みが強くて無理です。受傷した選手の多くは骨折の疑いがある方の肘を曲げ、もう一方の腕で支えるようにしています。

人によっては、バキ、などの音がした、と言ったり、首を怪我をしているほうにやや傾けたりする場合もあります。

受傷サイドの腕は動かせず、息をしたり歩いたりすると、”ジャリジャリ”や”ゴリゴリ”骨の擦れる音を感じることもあります。

受傷者は、自然と自ら痛みが出にくい体勢をとります。

骨折部位の腫れ、はもちろん、圧痛、骨折部位の盛り上がりを目で確認できる場合もあれば、見た目はあまり変わらなくても、ゆっくり鎖骨に沿って指を移動させると、段差を感じることもあります。


片方だけでは分かりづらい場合は、左右を比べてみると違いが分かりやすいです。

一般の人が行わなくてもいいチェックですが、行う場合は絶対に力を入れないで行いましょう!

【現場での対応方法】:本人が一番痛くない体勢をとっているので、その状態をキープします。(寝かせると痛みや腫れが増しますので、座った状態が良いでしょう。)

そして三角巾で腕を吊ります。(腕の重さで鎖骨が下がると痛みが増すので、三角巾で鎖骨にかかる腕の重さを軽減させます。)

氷があれば、アイシングをその上から鎖骨周辺に行います。

腕が揺れると痛みが増すので、アイシングの固定と一緒にバンデージで受傷しているほうの腕を体に密着させて固定しても良いでしょう。

その後、すぐに病院へ搬送します。

Q:病院では何をするの?
まずはレントゲンを撮影し、鎖骨の状態を見ます。骨折がはっきりしたら、固定です。

鎖骨骨折の場合、多くは姿勢強制ベルトのような胸を張るタイプの固定をします。

【原因】: スポーツ活動中における鎖骨骨折の場合、鎖骨に直接外力が加わって折れる、というよりは腕や肩から落ちて、その力が鎖骨に伝わって折れる、ということが多いです。

Q:復帰まではどれくらい?
 子どもであれば、骨の癒着、仮骨ができるのは比較的早いでしょう。2~3週間くらいの固定で済む場合もありますが、個人差があるので無理は禁物です!

医師の指示に従い、仮骨ができるまで腕をあげたり、上肢が揺れる動き(走る、ジャンプなど)はしてはいけません。

仮骨の形成がレントゲン上確認ができ、骨の癒合ができて、医師のGoサインがでたらまずはコンタクトなし、のスポーツに徐々に復帰していきます。

Q:鎖骨骨折後のリハビリは?
 固定具が外れ、医師から動かしていいよ、という許可が出たら、ゆっくりと腕を動かすリハビリを始めます。

リハビリ指導をしてくれるPT(理学療法士)さんや、AT(アスレティックトレーナー)さんがいらっしゃれば、彼らの指示に従ってリハビリを行えば間違いありません。

ですが、ちいさな病院でドクターのみ、という整形外科も少なくないでしょう。

そんな場合、「ま、痛くない範囲でゆっくり動かしていいよ」

で終わってしまうかもしれません。

実際 ”鎖骨骨折” におけるリハビリメニューというのは特になく、肩の可動域や筋力をつけるメニューがメインとなります。

ですから、動かしてよい、という許可がおりてお家でリハビリをしなくてはいけない場合、基本的には…

①ゆっくりと動かす範囲を広げていきます。
久しぶりに動かして、多少の違和感はあるかもしれませんが、刺すような鋭い痛みでなければそれほど心配は要りません。

②動かす回数を増やしていきます。
各方向を、10回→20回→30回・・・と徐々に増やしていきます。ジュニア世代であれば、特にウェイトを持つ必要はないでしょう。

しかし数週間固定をして、その間筋肉を動かしていなかったわけですから、特に上肢を使うスポーツ、

野球、ミニバス、ドッヂボール、などのスポーツをプレーしている子は、セラバンドなどのチューブを使用して筋力の回復を図るのも、ワンアイデアとしてあり、です。