7)膝のスポーツ外傷とスポーツ障害

2014年03月06日 13:52

<膝のスポーツ外傷>
1)靭帯損傷  2)半月板損傷  3)膝蓋骨脱臼

<成長期に起きやすい膝のスポーツ障害>
1)オスグッド・シュラッター病 2)ラルセン病(ジャンパー膝)3)分裂膝蓋骨4)離断性骨軟骨炎 5)ガ足部炎 6)腸脛靭帯炎

 
まずは、膝の解剖学についてお勉強しましょう。

 膝の靭帯は・・・
前十字靭帯(ACL)- 膝の前に出る動きを制限
後十字靭帯(PCL) - 膝の後ろに出る動きを制限
内側側副靭帯(MCL) - 膝の内側に出る動きを制限
外側側副靭帯(LCL) - 膝の外側に出る動きを制限

という4つの靭帯があり、これらで大腿骨(ももの骨)とすねの骨(脛骨)をつないでいます。そして、大腿骨と脛骨の間の衝撃を吸収する、クッションのような役割をするのが、半月板です。

 ちょうど、半月のような形をしていることから、こう呼ばれています。 そして、膝のちょうど真ん中にあり、一般的には 「お皿」 と呼ばれているのが、膝蓋骨 です。


<膝のスポーツ外傷>
1)靭帯損傷
   


【症状】:  よく聞かれるスポーツ外傷の一つですが、15歳以上での発症が多いといわれています。その理由として、成長期の子どもは、靭帯よりも骨の方が弱く、強い衝撃が加わった際には骨に傷がつくことが多いのです。 

 症状としては、痛めた度合いによって異なりますが、痛めた靭帯周辺の痛み、腫れ、熱などが受傷後すぐに感じられます。

【原因】: 突発的な外力が膝に加わって、受傷します。 

【治療】: 受傷の度合いによって、保存療法(手術をせずに固定して治す)と、手術療法(手術によって治す)に分けられます。

現場では、まずはすぐにRICE処置を。体重をかけさせず、固定をして医療機関へ。例え完全断裂していたとしても、当日に手術をすることはなく、腫れが引いてからの対応になりますから、まずはアイシングで腫れと痛みを軽減させましょう。

医療機関では、レントゲン後重度の靭帯損傷が見られると、ニーブレース(固定具)を貸してくれます。ブレースを装着することで、靭帯損傷の悪化を防ぎ、関節の不安定感を軽減させることができます。 そのため、靭帯が修復するまで、もしくは手術前後しばらく装着する必要があります。


2)半月板損傷  

【症状】: ちょうど半月板のある所(関節のすき間)に痛みがある。正座やあぐらをしようとすると、引っかかり感や痛みがでることも。  

【原因】:膝の急激な捻りや、繰り返しのストレスが膝にかかることによって起こる。  

【治療】:まずは安静。その後は、医師の指示の元、痛みや可動域を確認しながら運動に復帰していく。


3)膝蓋骨脱臼  

【症状】: 膝蓋骨が、溝から外れて脱臼する。痛みがそれほど強くなく、自然に整復している場合が多い。  

【原因】:X脚であったり、膝蓋骨が凸で、凹の役目がある大腿骨の溝が浅かったり、などの構造上の問題に加え、突発的な外力が加わって脱臼する。  

【治療】:例え膝蓋骨が元の位置に戻っていても、脱臼した際に膝蓋骨と大腿骨がこすれ、軟骨が剥がれてしまうこともあるため、まずは医療機関を受診する。

現場ではRICEを。脱臼した膝蓋骨を無理に整復するようなことはしないで下さい。悪化させてしまいます。固定をし、医療機関へ。


< 子どもに起きやすい、膝のスポーツ障害 >

1)オスグッド・シュラッター病


【症状】:10歳~11歳頃に多く発症する、膝下の痛み。膝のお皿(膝蓋骨)の下の部分(脛骨粗面)が痛く、隆起している部分がさらに腫れることもある。

初期の段階は、「運動すると膝の下が痛い・・・気がする」という程度が多い。脛骨粗面の腫れもなく、外見的にはあまり変化はない。

症状が進行すると、膝下を押すと痛んでくる。(=圧痛) 歩くだけでも痛みがあり、階段の上り下りも苦痛を伴う。脛骨粗面が盛り上がりを見せる。

【原因】:骨の成長の早さに筋肉の成長がついていけずに大腿四頭筋群(ももの筋肉)の緊張が高まり、それに加えてスポーツによる強い牽引力が繰り返し加わり、骨と筋肉をつなげる腱に過剰なストレスがかかって痛みが生じる。

【治療】:膝の下に継続的な痛みを感じたら、まずは医療機関へ。痛みが強い場合は、運動を中止し、治療に専念する。
その後医師の指示の元、運動量や運動項目の調整を行いながら、また、痛みや炎症の度合いを見ながら、徐々に運動に復帰していく。

しかし、痛みが少なくなったから・・・といって突然、元のレベルで復帰すると再発の危険性があるので、十分な注意が必要です。
運動前後の十分なストレッチと、早期発見、早期治療で十分治る障害ですが、痛みがある間は無理をしない、という事が大切です。

【予防】:ウォームアップやクールダウン時の入念なストレッチ(特に大腿部)、運動後のアイシングによって予防が可能。


2)ラルセン病

【症状】:10歳前後で発症。運動中にピリッとした痛みが膝にあったり、膝下の部位に腫れや熱などがある。 慢性化すると、ジャンパー膝へと移行する。

【原因】:お皿の骨(膝蓋骨)が、成長とともに骨になっていく過程で、スポーツなどによる強いストレスがかかり、起こる。

【治療】:まずは、医療機関の受診。その後は、医師の指示の元、運動量の制限を行いながら、徐々にスポーツ活動へ復帰していく。


3)分裂膝蓋骨

【症状】:7歳~10歳ごろに発症。膝蓋骨(お皿の骨)の周囲、特に上部が腫れ、痛む。

【原因】:膝蓋骨は、もともと1枚になってはおらず、成長とともに1枚のお皿のように形成されていく。それが、スポーツなどのオーバーユースによって分離してしまう。

【治療】:まずは医療機関を受診。その後、医師の指示の元、運動量を制限して、もも前(大腿四頭筋)の筋肉を十分ストレッチするなどのリハビリを行う。レントゲンで分離部が癒合しているか確認しながら、徐々に運動に復帰させていく。


4)離断性骨軟骨炎

【症状】:自覚症状が出てからでは遅い場合が多い。膝だけでなく、肘や足首に出る場合もある。

・初期:軟骨の下部が壊死をしている。自覚症状はほとんどない。
・進行期:軟骨に傷ができ、関節に炎症が起こっている。膝に痛みがあったり、関節可動域(動かせる範囲)が制限されたりする。
・終末期:遊離体を形成してしまっている。

【原因】:成長期の子どもに代表的な、骨軟骨障害の1つ。骨の末端にまで血流が行かず、骨が死んでしまう。原因は不明なところも多いと言われ、遺伝的な要素や、スポーツ、外傷なども原因の1つ、という説も。

【治療】:早期発見、早期治療が大前提。進行期以降まで悪化している場合は、手術が必要。ちょっとでも変わったところがあればすぐに医療機関へ。レントゲンで発見できるそうです。


5)ガ足部炎

【症状】:膝の内側、やや下の部分に痛みがある。腱の部分に炎症が起きる。

【原因】:X脚などで、膝の内側に負担がかかり、炎症が起きる。

【治療】:炎症が引くまで安静に。もともと、X脚の子どもは、ストレッチを十分行ったり、医師の指示の元インソールを作成するなどの対策が必要になることもある。


6)腸脛靭帯炎

症状】:膝の外側に痛みがある。一般的にはランナー膝、として有名。

【原因】:O脚などで、膝の外側(腸脛靭帯が付着している部位)に過度なストレスがかかって起こる。

【治療】:痛みが引くまでは安静に。もともとO脚も子どもは、十分なストレッチを行ったり、医師の指示の元、インソールの使用を検討することも。

O脚でなくても、足首が柔らかく、よく内反(内返し)する子どもも、注意が必要な場合があります。

★更に詳しく!↓
ランナーだけの傷害ではないのですが、膝の曲げ伸ばしを繰り返し、長い時間行うような選手に多発しやすい傾向があります。

Q:腸脛靭帯って?

腸脛靭帯に限りませんが、靭帯の名前というのはくっついている骨の名前が含まれていることが多いんです。この 「腸脛靭帯」でしたら、 腸骨と脛骨にくっついているので、腸脛靭帯。

足首捻挫でよく痛める 「前距腓靭帯」、は距骨と腓骨にくっついている靭帯で、前方にあるので、この名前。

で、腸脛靭帯、ですが、腰部分の骨から下腿の太い骨の脛骨に伸びている長い靭帯、なんです。


Q:腸脛靭帯炎って?

主に、膝の外側部分に炎症がでて痛みがあります。急に痛みがでる、というものではなく徐々に痛みが増してきて、ガマンしながら練習を続けていくと、ついには痛みで運動が難しくなる、オーバーユースのスポーツ外傷です。

初期は走った後にちょっと痛むくらい。それが、走っている間も痛くなり・・・その後歩くだけでも痛く、そして果てには動かなくても痛い。

痛みや炎症がでるところは、膝横外側あたり。ここは、ちょうど大腿骨が広がっている部分(大腿骨外顆)なんです。

太ももの骨が末広がりのように下に行くと太くなっていますね。この部分と腸脛靭帯が擦れて痛いんです。


Q:原因は?

この腸脛靭帯が、繰り返しの動きで過剰に太ももの骨(大腿骨)に擦れて痛みが出ます。 急に走る量を増やしたり、スピードをアップさせたり、シューズを変えたり(→ソールが硬い、もしくは柔らかすぎる)

硬い道路ばかり走ったり(→コースを変えた)、下り坂のメニューを増やしたり、ストレッチを怠ったり、筋力不足だったり

色々な原因が積み重なって発症します。

加えて腸脛靭帯は、膝を20度~30度曲げたところで一番大腿骨に擦れるので、比較的膝を深く曲げて蹴り上げるように走る人より、膝をあまり曲げずに走る人の方が痛みを生じやすい、とも。


Q:対応は?

まずは安静。安静が難しいなら、トレーニング量を減らすなどのメニュー構成の編成も必要。運動前後にしっかりしたストレッチ(ウォームアップとクールダウン)。

寒い時期に走るときは、十分に身体を温めてから。走った後はアイシング。アイスマッサージも効果的です。